
第5回 (公社)日本WHO協会×jaih-s共催企画
遠い国なら他人事??
~予防接種からみる理想の国際支援!~
予防接種で守れる命
現在、予防接種で守れる子どもたちの命は、毎年推計200万人~300万人。予防接種によって、ジフテリアや破傷風、百日咳、はしかなどの感染症から子どもたちを守っています。1990年、世界で5歳の誕生日を迎えることなく亡くなる子どもは年間1,270万人でしたが、2013年には630万人にまで減少しました。これは毎日1万7,000人の子どもの命が救われていることになります。
その一方、毎年150万人以上の子どもが、予防接種で予防可能な病気で死亡しています。
予防接種事業のさらなる拡大が、求められています。
医療支援・予防接種の格差
WHOとUNICEFは1974年より予防接種拡大計画を実施しています。その当時は基本的なワクチン(BCG、ポリオ、三種混合、麻疹、B型肝炎、Hib、日本脳炎、黄熱病の8種)を接種している子どもは世界でわずか5%でしたが、2010年には80%にまで上昇しました。しかし、WHOの推計によると依然として予防接種を受けられない子どもは2180万人おり、ワクチンで予防可能な疾患のために命を落としている子どもは年間210万人います。また、予防接種を受けられない子どもの60%が6カ国(コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、インドネシア、ナイジェリア、パキスタン)に集中しており、地域間格差が生じてしまっています。
1988年には世界保健総会において世界ポリオ根絶計画が採択されました。当初は125カ国でポリオ患者が見られましたが、2013年には、アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアの3カ国でのみ確認されるようになり、患者数は99.9%以上減少しました。しかし、3カ国では治安等の問題で、期間、地域、対象年齢を限定して実施する予防接種活動を行えず、ポリオ根絶への見通しが立っていません。
このように地域間、国家間で予防接種普及の格差が生じてしまっているのが現状です。
Unicefの予防接種事業


提供:久木田純先生